野いちご

『夏の夜は三たび微笑む』、『第七の封印』の成功で国際的な名声を得たベルイマンが、映画製作会社から全面的なバックアップを得て製作した作品である[1]。人間の「死」や「老い」、「家族」などの普遍的なテーマを扱った本作品は広く共感を呼び、ベルイマンの代表作として高く評価されている。
ベルイマンは映画の主人公の老教授役に、スウェーデン映画界の巨匠ヴィクトル・シェストレムを起用した。シェストレムのような大物を起用することが出来たのも、上述の映画製作会社の上層部がシェストレムを説得したおかげであった。撮影時には多くの困難があったものの、映画の完成後シェストレムの演技は広く賞賛された。シェストレムは本作品でベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞とナショナル・ボード・オブ・レビュー賞主演男優賞を受賞した。シェストレムは映画公開後の1960年に亡くなっており、彼にとって本作品が最後の映画出演になった。
本作品は公開と同時に全世界で批評家の絶賛を浴びた。第8回ベルリン国際映画祭金熊賞ゴールデングローブ賞外国語映画賞ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞外国語映画賞など多くの映画賞を受賞、ベルイマンに更なる名声を齎した。日本でも本作品の人気は高く、1962年度のキネマ旬報外国語映画ベスト・テン第1位に選出された。